アンケートサイトの信頼性について考えてみた

CC BY_NC_SA Don Solo flickr
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アンケートサイトというものをご存知でしょうか?

アンケートサイトとはインターネット上でアンケートに答えることができるものです。アンケートのモニターに登録しておくとアンケートの依頼が届き、それに答えるとポイントが貯まります。貯まったポイントは現金や商品券などに交換することができます。

今回は、アンケートサイトはどういったものでどういう問題があるのかについて考えてみました。

※この記事は
エアラインなどのサービスランキングが発表されたのですが
での経済産業省が発表したアンケートの信頼性についての詳細になっていますので一部内容がかみあわない部分があります。
※また、今回の記事の内容は個人の経験とひどい憶測によるものです。

 

アンケートサイトの内容

登録するサイトにもよりますが、アンケートの連絡はほぼ毎日メールで送られてきます。
アンケートはだいたい2段階になっていて、まず「事前アンケート」が送られてきます。
事前アンケートは本アンケートの条件に合う人を見つけるためのもので、条件が合うと数日後に本アンケートが送られてきます。
事前アンケートはだいたい数問、1,2分程度で答えられるもので、これに答えると3円程度分のポイントがもらえます。
次の本アンケートは数分程度で答えられるものから10分以上かかるものまで様々で、これに答えると数十円~数百円分のポイントがもらえます。

私が数ヶ月間、3つのサイトにモニター登録して毎日アンケートに回答したところ、その数ヶ月で3000円の現金になりました。一応毎日せっせと答えていたのですが、もっとしっかりとやりこんでいる人はもっと稼いでいるようです。
 

アンケートサイトに登録している人

さて、このアンケートサイトなのですが、よく「お小遣いかせぎ」と言われます。
そして毎日インターネットでコツコツやるということを合わせて考えると、モニターに登録する人は
・お小遣いがほしい
・毎日ちょっとした時間がある
・インターネットを使える
というような人達だと言えます。

逆に言うと、
・お金に余裕がある
・忙しい
・インターネットが使えない
という人はあまりモニターにはならないでしょう。

これをエアラインのサービスランキングの例で考えると、飛行機代自体そんなに安くはないので、格安エアラインを使う人が主な対象となるでしょう。ビジネスクラスに乗るような人や、中年以上の旅行好きはまずいないはずです。
というわけなので、まずモニター登録者に偏りがあります。
 

事前アンケートの信頼性

アンケートは事前アンケートと本アンケートに分かれているわけなのですが、事前アンケートが数円なのに対して本アンケートは100円以上になることもあります。お小遣いをかせぐ側としては出来るだけ本アンケートまでたどりつきたいと考えます。

さて質問
あなたはこの1年間に航空機を使って移動されたことがありますか?

「いいえ」と答えた人には残念ながら本アンケートは来ないでしょう。何回かアンケートに答えていると、おそらくこのアンケートは航空会社のイメージや使った感じを聞きたいんだなというのがなんとなくわかってくるので、自然とアンケートが求めている回答をしがちです。「はい」と答えても何も困ることがないんです。もし実際に乗ったことがなくても、本アンケートが来ればいいんですから。
というわけなので、実際にエアラインを使用していなくても回答できてしまいます。
 

本アンケートの信頼性

しばらくして本アンケートが送られてきました。
内容はやはり使用した航空会社についてでした。

質問 ペンギン航空についてお聞きします
あなたが使用されたのは何クラスですか?
機内の清潔さはどうでしたか?
機内の温度は適切でしたか?
係員の離陸前の説明はよくわかりましたか?
上空でのアナウンスはわかりやすかったですか?
   :
   :
飲み物について、タイミングは?温度は?味は?
機内でのサービスについて、食事のタイミングは?種類は?温度は?量は?味は?回収のタイミングは?

それぞれ10段階でお答えください。

やっと答え終わった、と思ったら、

では次にシロクマ航空についてお聞きします。
   さっきと同じ質問
     :
     :

やっと答え終わった、と思ったら、

では次にクジラ航空についてお聞きします。
   さっきと同じ質問
     :
     :

どうですか?最後まで最初と同じくらいしっかりと答えられますか?

とてもそう思う、そう思う、すこしそう思う、どちらかというとそう思う、どちらでもない、どちらかというとそうは思わない、すこしそうは思わない、そうは思わない、とてもそう思わない、わからない

経済産業省の例のように10段階で答えるとなるとこのような選択肢になると思います。
ずっと続けていると、とてもそう思う、と、そう思う、の違いはどうでもよくなるでしょう。へたをすればすべて、どちらでもない、にしてしまうかもしれません。
すでに本アンケートになっているので、とりあえず最後まで答えるとポイントがもらえます。全部同じ答えをしてしまうとあやしまれるかもしれませんが、ある程度ばらけさせれば大丈夫そうです。個人の感じ方なので正解はないわけですし。極端な場合は質問すら読まずに回答できます。

というわけで、細かく長いアンケートほど適当に答えるようになる可能性があります。
 

知らないものに答える

さて、いままで使ったことのない商品やサービスでもなんとなくいいか悪いかのイメージはありませんか?かっこいい広告を見たとか、好きな俳優がCMにでてたとか。
逆に、まったく広告を見たことがなかったりする企業もあると思います。

例えば、スターフライヤーとスカイネットアジアのイメージってどんなのですか?
スターフライヤーは黒くてなんかかっこいいイメージ?スカイネットは・・・よくわからない。
どちらも乗ったことがない人はそんな感じではないでしょうか。

事前アンケートで、スターフライヤーとスカイネットアジアそれぞれ使用したことがありますか?というアンケートが来た場合、スターフライヤーはなんとなくイメージできてたぶん本アンケートも答えられるだろうから「はい」。でもスカイネットは本アンケートに答えるだけのイメージがないから「いいえ」。
そんな感じで答えるのではないでしょうか。
というわけで、実際の使用者数とアンケート結果の使用者数が大きく異なる可能性があります。

また、イメージだけで本アンケートに進んだ場合、本アンケートの結果はイメージに近いものになる可能性があります。
例えば、シンガポール航空は世界一のサービスで有名です。実際に利用したことがない人がアンケートに答えるとおそらくよい評価になるでしょう。
スターフライヤーはデザインを重視しています。こちらも実際に利用したことがない人がアンケートに答えるとおそらくよい評価になるでしょう。
 

アンケートサイトの結果の使い方

まとめると、アンケートサイト登録者は本アンケートに選んでもらえるようにそれに合った回答をし、本アンケートの後半の回答はあいまいになる、可能性があります。

かといって、アンケートサイトがまったくだめだと言っているわけではありません。
アンケートを依頼する側はそれらの可能性を踏まえた上で行うべきで、例えば企業が新商品を出す前にその商品を見た一般の方の反応を見たり、潜在的な需要を調べたりしてある程度の方向性を判断するのには非常に効率的でよいシステムだと思います。自分でお金を払って、自分の責任の範囲でアンケート結果を使用しているわけですし、アンケートの信頼性もそこまできっちりとしたものは必要ないからです。

しかし、このアンケートの結果を経済産業省などの公的機関の調査結果として発表するのは非常に無責任で、相応の信頼性もないと思います。

アンケートサイトは完璧ではないので、それに見合った使い方をもう少し考えてほしいと思います。
 

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