明日使える!背面飛行から飛行機を安全に立て直す方法

CC by_NC_ND caribb flicker
CC by_NC_ND caribb flicker

みなさんが飛行機を操縦しているとき、ふと気がついたら背面飛行だった。
そんなことってたまにありますよね?

そうなったときに頭が真っ白になってしまったり不適切な対処をしてしまうと
取り返しのつかない事態になってしまいます。
そういうことにならないようにここでもう一度異常姿勢からの回復についておさらいをしておきましょう。
(”姿勢”とは飛行機の向きや状態のことです)

まずは上昇か降下かを見極めよう

飛行機の操縦方法
異常な姿勢に気がついたとき、まず最初に確認しなければならないのは
機体が上昇しているのか、降下しているのか、ということです。
背面飛行であっても降下しているとは限りません。

飛行機にとって最も重要なことは速度(対気速度)です。
翼が最低限の風を受けなければ飛行機は飛べませんし、逆に速度が出すぎると機体にダメージがでたり
姿勢を回復するまでに大きく高度を下げてしまうことになります。

外の景色を見て瞬時に判断しましょう。夜間や雲の中で外が見えない場合はAI(姿勢指示器)で確認しましょう。
高度計や昇降計でも判断できますね。
また、同時に速度もチェックしましょう。
突然不意に姿勢が変わったのであればいままでの速度からそれほど変化していないはずです。

ですが、このあと速度が大きく変化することが予想されます。
上昇しているのであれば速度が落ち、降下しているのであれば速度が上がります。
ですので上昇ならエンジンのパワーを一杯に上げ、降下ならパワーを絞ります。
姿勢をコントロールしようとする前に速度を適切な範囲に維持することを心がけましょう。

上昇中の背面飛行だったら

背面飛行から回復する操縦方法
パワーを上げたあとにしなければならないことは進行方向に対して飛行機をクルンと回転させることです(ロール)。
ここで上昇しているからといって操縦桿を引いて水平にしようとしてしまうと
そのまま地面にダイブしてしまうことになるのでやめましょう。

さて、機体を回転させても元の正常な状態までもどす必要はありません。
最低でも90度(垂直)以下にまでもどせばOKです。

飛行機は翼から機首側のほうが翼から後側よりも重くなるように設計してあり、
また水平尾翼、垂直尾翼も後側にあるために機体を傾けたまま放っておくと次第に機首がさがってきます。
つまり傾いたまま上昇から水平飛行へと変わるのです。

垂直になったままだと揚力がなくなって落ちてしまうのでは?と思われるかもしれませんが、
この場合、慣性がありますのですぐには落ちません。

なぜ完全に水平に戻さないのかというと、水平に戻すとそのあと上昇姿勢から水平に戻すことになるのですが、
この操作はエレベーターで下に降りるときに感じるようなフワっとした不快感を生じさせます。
こういった緊急事態での急激な操作はかなり強い浮遊感(サブG)になるでしょう。

エレベーターで上に上がるときのようなググっと重くなるときはそうではないのですが、
フワっと軽くなるときに強い恐怖を感じパニックになる人がまれに存在することが航空生理学的に知られています。
多くのお客さんを乗せた状態でこのような強い浮遊感を発生させる操作は避けたほうがよいでしょう。
翼を傾けたまま機首の下がりを待つ方法ですと、その間に操縦桿を適度に引くことで
機体の床方向の重力を発生させることができますので
(お客さんが外を見なければ)お客さんに恐怖感を与えることもないでしょう。

飛行機の機首が水平になったら、翼を水平にもどしましょう。
エンジンのパワーを調節し、速度をもとにもどせば回復完了です。

降下中の背面飛行だったら

背面飛行からの急降下
エンジンパワーをしぼったあとはまず翼をロールさせ水平に戻します。
あまりに急激に下を向いた状態ですとどれが水平線かわかりにくいことがありますので、
その場合は先に機首を持ち上げてもよいでしょう。

翼を水平に戻したあとは機首を持ち上げ、水平飛行にします。
このとき翼を水平にする(ロール)と機首上げを同時に行ってはいけません。
左右の翼に荷重の不均衡を与え、思わぬダメージが発生してしまうかもしれないからです。

降下中からの回復で大切なことは、機首の引き上げで発生する強い重力(荷重)で機体にダメージを与えないようにすることです。
ゆっくりと機首を引き上げると荷重も小さくなるのですが、その分高度も大きく落ちます。
機体の制限荷重と高度のバランスをとって機首を上げるようにしてください。

降下中ですのでどんどん速度が上がっていきますが、そんなことにはかまわず
出来るだけ早く機首を水平にできるようがんばってください。

翼と機首が水平になったら、エンジンのパワーをしぼったままですので
忘れずにすみやかに適切なパワーをセットするようにしてください。
速度と高度を確認したら回復完了です。
 

*上記の内容はネタ記事です。
*通常のまともな旅客機では背面飛行になることはありませんのでご安心ください。
参考:全日空便:「背面飛行」 一歩間違えれば大惨事に(毎日新聞)

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