JALの法的整理が決定され、そのなかで今後の再建方針として子会社数を削減、減便、1万5000人の社員を解雇をするとされています。
このサイトでもJALの子会社にはどういうものがあるのかを以前にまとめましたが、
それはJALの航空運送事業をしている子会社、つまり直接飛行機を飛ばしている会社しか扱っていなかったので、今回は航空運送事業以外の会社を含めてまとめなおしました。
使った資料は2009年3月末のものです。
まず、日本航空という会社自体は社員10人程度の会社で、この会社はグループ全体の戦略を決めたり子会社をまとめる役割をしています。
そしてその子会社として飛行機を飛ばす会社や、それを助ける会社、旅行関連の会社やカード事業会社などがあります。
子会社は203社、関連会社は83社あります。
JALグループ全体としては従業員数は約4万8000人です。
そのうち、航空運航事業をしている会社は合計約2万1000人。
航空運送関連事業をしている会社は合計約2万1000人。
旅行企画販売事業をしている会社は合計2400人
カード、リース事業をしている会社は合計200人
その他の事業をしている会社は合計3400人です。
航空運航事業は飛行機を飛ばしている会社で、通常「JAL」と表現されるJALインターナショナルをはじめ、その他あわせて8社があります。→図で見るJAL日本航空の運航子会社
航空運送関連事業は、旅客・貨物の取扱い業務、機内食調製、航空機並びに地上機材等の整備、給油等をしている会社で、JALグランドサービス、JALカーゴサービスなどがあります。
旅行企画販売事業は、旅行の企画販売をする会社で、ジャルパック、ジャルツアーズ、ジャルセールスなどがあります。
カード、リース事業は、金融業、カード業、リース業などの会社で、ジャルキャピタル、ジャルカードなどがあります。
その他の事業には、ホテル、リゾート事業と、卸売・販売業、不動産業、印刷業、建設業、人材派遣業、情報通信業等を行う商事、流通事業があります。
上のグラフのうち、水色の部分の航空運航事業をしている子会社の従業員数をさらに詳しく見ると次のようになります。
航空運送事業のうちの75%ほどがJALインターナショナルの従業員です。
JALウェイズは外人を主体とした会社で、雇用の調整弁として作られた会社ですので、すでに大幅なリストラが行われています。
これらの会社の従業員の割合を職域別にみていくと次のようになります。
このグラフではJALウェイズとジャルエクスプレスの地上職員の割合が少なくなっているのが特徴です。JALグループ全体としてもANAや新規航空会社よりも地上職員の割合が少なくなっており、これは航空運送関連事業の会社へ役割分担をさせているためと思われます。
リストラは進むのか?
グループ全体の3分の1の1万5000人がリストラされる予定ということですが、まずは飛行機と関係のないところからはじめられるでしょう。航空運送と航空運送関連以外の会社がそれに当たるのですが、人数は7000人程度です。
そのあとに飛行機に関係する部分の社員の解雇になるとは思うのですが、航空会社はパイロット、客室乗務員、整備員、地上職員の人数バランスがだいたい決まっていますので、飛行機の減便に合わせた人員削減が各職域でバランスよく行われると思います。そこで残りの8000人分のリストラをするとなると、単純かつおおざっぱに考えて飛行機の数で言えば2割、つまり現在ある約260機のうちの50機分に相当すると思うのですが、再建計画の中でのジャンボ機などを入れ替える予定の機数とかなりずれがあり、実際そこまで人数を減らすのはむつかしいのではないかと思います。
また、人件費削減という点から見ればJALインターナショナルの社員1人とジャルエクスプレスの社員2~3人の人件費は同じくらいなので、本当に再建するのであればどれだけJALインターナショナルのほうに食い込めるかがポイントでしょう。ローコストの会社を削って本体を残したのでは今までよりもひどくなります。